『おしどりマコ&ケン・トークライブ ハミガキをするように社会のことを考えよう!』を受けて、3.11から八年目にして思うこと

震災の節目に、こうして記事を書くことは、はじめてになる。

いまもまだ、葛藤が消えたわけではない。

はたして言葉にできるほど、私の中で整理されているのか、

それをなるだけ誤解を与えずに、人に伝えることができるのか。

そんな不安が拭えたわけではない。

 

だが、311のことについて、津波や地震、とりわけ原子力発電所のことについては、ほぼ毎日、といっていいほど、考えなかった日はない。

それはあの日を境に、というよりは2013年あたりから、といったほうが正しいかもしれない。

なにかの拍子に原発の問題を知りたい、暴きたい、という気持ちが強まって、自分で調べたり、本を漁ったり、色々な人の意見を読んだりしてきた。

当然、そのときどきで、思うことはたくさんあった。感想というか、自分としての意見が浮かんだ。

だけどそれは、その発言を私がすることで、見知らぬ誰かを傷つけることにもつながるのではないかと、誰かの穏やかな暮らしを、奪うことになるんじゃないかと思い悩み、口を閉じた。

また、自分で調べたことが本当に正しいことなのか。

そう信じ込みたいだけの、自分の都合で選んだ「真実」なのではないか、という疑念もあった。今もそれは変わらない。

 

けどもう、内側で背負い込むのは限界に達した。

私は、原発が生み出した問題について思うことを、思いの丈を、面と向かって、話せたのはこれで二人目になる。

その人たちに話しているときはいつも、抑えていた感情が堰を切ったように溢れ出すからなのか、体が震えだし、涙も堪えきれなくなって、頭も真っ白になった。

ただそのことについて話せる自由を得られた、というだけで、「報われた」気がして、それだけで頭が痺れたような感じになって、あまりその後のお相手の話を、集中して聞くことができなかった。

 

だから、一昨日のマコさんのお話も、自分から質問をしたのに、上の空みたいな感じになっちゃって、申し訳なかった。

それでも、必死に集中力を保つため、痺れた頭に渇を入れ、断片的に、言葉を拾いあげた。

そしてそのなかに、強く強く心に残っている、印象的な言葉、エピソードがあった。

そこでまた私は目の前が霞んだ。

 

マコさんって誰ぞや?と思った方もおられるだろう。

それは、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属されている、「おしどりマコ&ケン」という名前で活動されている芸人さんだ。

「おしどり」からわかるように彼らは二人組の夫婦漫才ユニットで、あの震災前後は、普通の芸人さんとして、お客さんの前で芸を披露するお仕事をしていた。

だが、転機となったのは東日本大震災以降、東電の記者会見をインターネットでチェックするようになってからだった。

日を追うごとに菅官房長官さながらの、指名制が目立つようになり、マスコミの追求も甘いものが目立った。

最初は傍聴するつもりでその場に参加したマコさんケンさんだったが、そのうち質問したいことをマスコミが質問しないので、自分たちで質問するようになった。

それから毎週月・木の周期で開催されている東電記者会見に欠かさず、八年間通い続け、質問し続けているのだ。

これは、マスコミ記者関係者の中にもいない。

問題はなにも収束などしていないのに、いまでは、東電の記者会見に訪れる人は片手の指で足りるほどだという。

彼らがふと思い立ち、行動に移していなければ、今現在、誰も責任や問題を追及し、白日の下に晒す人間はいなかったということだ。

「こうやって歴史って書き換えられていくんやなあと思いましたね」と、壇上でおっしゃっていたのが印象的だった。

 

ジャーナリズムとはなんなのか。

癒着が人を殺す。命より、金。

そんなことに気付きもしない人間でこの国は溢れているのか。

残念ながら、それは紛れもない事実だろう。

私はそう思った。

 


 

改めて、今回私が参加したのは、『おしどりマコ&ケン トークライブ 芸人記者が原発事故を徹底取材!! ハミガキをするように社会のことを考えよう』というもの。

2011年3月11日、東日本大震災から8年目に寄せて・・・
政府は「事故は収束した」と原発再稼働を進め、
人々の記憶も薄れゆくように見えます。
しかし、この国はまだ【原子力緊急事態宣言中】にあり、
世界は今もフクシマを見ています。

おしどりマコ・ケンは、「ハミガキをサボると虫歯になるように、
社会のことを考えるのをサボると人生にしっぺ返しが来る」と語りつつ、
事故を機に取材を始め、「命優先」の思いで徹底取材を続けています。

「自分で知って考えること 理解して判断すること
それはいつでも どこでも 誰でも 出来ること」(おしどりマコ)

その大切さについて、一笑懸命考えませんか。

 


 

マコさんケンさんの凄いところはその行動力だけではない。

彼らはプレゼン能力が素晴らしい。

私が今回のトークライブに出席しようと決めたのは、数年前、youtubeでそのトークライブを見ていたからだ。

二時間を超える長丁場であるにも関わらず、それを感じさせない、軽妙で、それでいて重厚なトーク、話術、声のボリューム、声音、論理的な説明力。笑えない問題に笑いを絶妙に挟み込む夫婦漫才ならではの技術。マコさんが「ケンちゃん、あのスライドだして!」というと、すかさず膨大なデータから必要な情報を引っ張り出してくるケンさんの検索力…。夫婦愛…。あの舞台には、あらゆるものが詰まっている。

 

「原発の問題を取り扱う」と聞くと、誰の顔も曇りがちになるものだが、彼らのプレゼンを見ていると、不思議とそこまで重たい気持ちにはさせられない。

それでいて観覧後には、知識が養われ、士気も上がっているという、即効でまとめられたドキュメンタリー映画のようなのだ。

だから、まったく二時間という時間が苦にならないのだ。ほんとうにあっという間なのだ。

もちろん、自分で調べた放射性物質についての予備知識があったほうがより深く理解できる。

 

こんなお得なトークショーがこの世に存在していいのか、と。前売り千円で見ていいのか、と。

とにかく国民全員に一度は見てほしいと思った。

社会のなにかを考えるきっかけに、こんな最適な入り口はないと思った。

 

マコさんからは「一分一秒が惜しい」という気概が感じられ、ずーっと喋りっぱなしだったのだが

なぜか抑えた写真は飲水中という。笑

写真撮るの下手くそかw

会場に足を運べなかった人も、ネットで配信されているので必見です。(リンク先の再生ボタンを押すと視聴できます)

 

当ブログ、『うへろぐ』はどちらかというと、カウンセリング記事だけが人気であり、こういった記事を上げることに少なからず抵抗はある。まあ、そもそもが読まれないだろうけど。

いまは自分の問題で精一杯の人は、それはそれでいいと思うし、治療に専念することも大切だ。

それでも個人的に、ここに記録しておく必要がある。戒めとして、書き残しておきたいと思ったので書いた次第だ。

その動機はツイートに書いた。

 

書きたかったことの1/10も書けなかったけど、今の自分には、これが精いっぱいなのかもしれない。

「震災を風化させてはいけない」と、口ではみんないうけれど、それは形骸化しただけの言葉にしか私には聞こえない。

「震災の影響は、いまも続いてる」

きっと終わらない。それでも向き合っていくしかないんだ。

歯を磨くように。これ以上虫歯を悪化させないためにも。