『超入門 資本論』二十代半ばにして初めてこの社会のルールを知ることとなった

突然やけど、こないなジュースが、なんで150円っちゅう値段が付いとるか、知ってはります?

おそらく大半の人が、急にこの見ず知らずの、ひょっとこのようなツラをした禿爺に道端で話しかけられたら、答えられないのではないだろうか。

否、そうでなくても答えられぬ。

『超入門 資本論』 著:木暮太一

今回ご紹介するのは、新書コーナーに置いてあった、木暮太一(こぐれたいち)という人の『超入門 資本論』という本である。

装丁からしてツマラナソウな本なのだが、中身はというと、僕のような頭の弱い読者にも、優しく丁寧に解説してくれているので、大変有り難い。いまは神棚に飾ってある。

資本主義社会のルールを知らないまま生きていた

貴殿が汗水流して働いた給料がどうやって決められているかをご存知だろうか。

この本によると、これは「労働力の価値」に対する支払いによって決まるのだと。

つまりこれはどういうことかというと、「いやー、今日もご苦労さん。明日も頑張ってね」と肩を二、三度叩き、茶封筒に入ったしわくちゃの一万円札を渡されるということであり、よく日雇い労働者のことは「その日暮らし」なんてな言葉で表現されるが、日本で暮らしているほとんどの労働者は、その「その日暮らし」で生計を立てているということなのである。

これでは生活が豊かにならないのは当然で、その日一日を生きながらえ、「明日もまた労働をしてもらうだけの活力を補充する金額」が、企業から給料として渡されているのである。

アダム・スミスという昔の経済を語る偉い人が、給料のことを、「家畜並みの生存に見合う最低線」とまで述べているというから、家畜同然になるまで、現在の労働者への圧力は続けられること必定である。

AIの発達によって、「将来なくなる仕事」も取り沙汰される昨今

会社に籍を置いて雇われる形態の労働だけではなく、別の形でもお金を稼ぐ能力、というのはこれからの時代、個人に求められる「当たり前の能力」となっていくかもしらん。

現在日本で株取引をやっている人は全体の一割というのを聞いたことがあるが、自分が予測するに、株をやる人もあと1~2年もしたら、急速に増えるのではないかと睨んでいる。

この読書体験で自分が一番収穫となったのは、大企業に対しての怒りが軽減されたことだ。

それはなぜかというと、これまで僕は、大企業が諸悪の根源だと思っていたからで、会社の経営が苦しくなれば、労働時間を増やし、労働者の尻を叩いては労働の質を向上させ、それでも上手くいかなければ、末端である非正規雇用者から首を切り、あげく正規雇用者に早期退職を促す。内部留保もたんまりため込みやがってド畜生があ。と。

しかしである。

それがこの社会の、暗黙の、必然のルールだったとしたらどうだろうか。

「目指せ、倒産!」という社訓を掲げる会社が見当たらず、「ダメだ、日本社会は終わっている」と嘆き悲しむ人間のことを、「頭がおかしいのではないか」「とち狂っているのではないか」と考えるのが真っ当というもの。

つまり、企業は、利益を求めて会社を立ち上げ、資本主義ゲームのテーブルに着いたその時点で、「労働者」という資源をいかにして使うかが必然のルールだったのである。デュエマでいうマナであり、ボケモンでいうエネルギーカードだったというわけだ。

ちまたでよく言われている「搾取」という言葉は、実をいうと最初からルールの一部であった、と。

この筆者は「え、これがまあルールですからねー。お門違いなんですよー」というニュアンスで、淡々と話をされておられるが、我々のような庶民にとっては、ジャニーズタレントが試験に合格し、宇宙飛行士になるくらいの衝撃である。

 

「これだけ頑張ってるのに、なぜか苦しい…」「生活がよくならない…」

という人(まあ日本人全員ですかね)は読むといいでしょう。

その理由がはっきりするとともに、生きる活力は、湧いてこないですが、これからどうすべきか、という指針にはなると思うのでおすすめです。