映画『ゼログラビティ』宇宙空間を一人でさまよっているような疑似体験ができる良質な映画

もう五年前になるか、この映画は当時劇場へ足を運んで鑑賞し、とても印象的だったのを覚えている。

ストーリーは、宇宙船外でミッションを行っていた乗組員一行が、とある国によって引き起こされた、とある事故に巻き込まれ、我がアメリカ合衆国のスペースシャトルや、ISS(国際宇宙ステーション)が破壊されてしまい、残されたメンバーが、地球への帰還を目指して奮闘するというもの。

と、ここまでのあらすじを聞くと、「あーはいはい、ちまたによくある勧善懲悪、一念通天、御涙頂戴映画ね」などなど。そのままスルーしてしまいそうになる、がしかし。

予告

単なる生存、帰還、以上のなにかを見せてくれるSF映画

『ゼログラビティ』は、ハゲマゲドン。のような、サクセスストーリーのSF映画とは、一線を画している。

たしかにこの映画の映像も、とかく美しい。だが、その圧倒的なまでの美しさの中に、残酷さや恐ろしさといった、無慈悲な闇を映し出している。

どんなに主人公が困難な状況に直面していようと、宇宙は、地球は太陽は、その表情を変えない。そんなの当たり前ではあるが、意外に、人の手が加えられた映画にとなると、大自然を、宇宙の神秘を必要以上に持ち上げ、「魅せる場面」を盛り込んでいたりもする。

ほとんどのシーンが、主人公の「恐怖」を撮っているが、その片隅で輝く、惑星の美しさに、ふとした瞬間に、心を奪われるのだ。

宇宙空間での人間の動きはこうなるかもしれない

とにかく、動作のひとつひとつが大変細かい。

おもわず、主人公の呼吸の乱れ、掴む、離す、握る、などの一挙手一投足に釘付けとなり、「ぶわっっはあああ」と呼吸を止めていたことに、ひとつびとつのシーンが終わる毎に気付くこともしばしばであった。

部品落としたりとかね。「ああああっ(蒼白)」みたいなシーンは、ほんと心臓に悪い。

それだけリアリティがあり、本当に宇宙空間に放り出されているような感覚になる。もちろん僕は、宇宙へ出たことがないことはおろか、この二日間、一歩も外に出ていない。なあに、ゴールデンウィークである。うい~

だが、もし宇宙空間、無重力空間にひとたび放り出されたならば、こうした動きになるのだろうなあ、と思う。

孤独に慣れた地球人におすすめ

地球での孤独でいる時間が長い人には、逆になぜか安心できる映画でもあると思っています。

大変おこがましくはあるけど、孤立無援の只中に漂う主人公に、自分の姿を重ねてしまった。一人でいる時間、というものを静かに見つめなおすことになった。このままの人格でいけば、おそらく孤独死は免れ得ないであろう自身の境遇と重なり、心が動かされた。

でもそれもただ悲しいとか、虚しいとか、そういった種類の感慨ではなくて、もっとなにか静かな、なんともいえぬ気持ちが、さざなみのように押し寄せてきた。

原題は、gravity

この映画の原題は、gravityなのですが、邦題では『ゼログラビティ』となっているのはお察しです。自信を持てよ、と言いたいですね。

「人間の勝利、宇宙の素晴らしさ、そういった教訓はいらねーから、宇宙を見せろ」という方のお口には合うかもしれません。

個人的には、アクション映画より力入って見てました。笑

時間も90分と短めなのでおすすめです。

 

監督 アルフォンソ・キュアロン