山田ズーニー『話すチカラをつくる本』一時間で読めて内容は濃厚 コミュニケーション論の骨子を学ぶのはこの一冊で十分

コミュニケーションの啓発を謳った本は世に五万と出版されているが、その内容を精査すると、「よくこの程度の内容で本にできたな」という感想を抱いてしまう自己啓発本の山、山、山。

申し訳ないが、本当にこれを執筆した人は、人にコミュニケーションのなんたるかを語れるほどの人物なのかと疑い、さらには「実は孤立してるんじゃないのか」と余計な心配までしてしまう始末。

こちとら本気でコミュニケーションの取り方、会話のキャッチボール、会話の続け方に悩んでいる身としては、はっきりいって迷惑以外のなにものでもない。

そのはた迷惑な彼らに共通している論説を突き詰めると、本人の「積極性のなさ」を責めるものであったり、「相手に興味を持ちましょう」といった、人間賛歌、否、人類賛歌的なものに終始している。

では、人間嫌いの私はどうしたらよいのか。

好きにおなりなさい。人間を

土台、無理な話である。

そんなご高説を承って心を入れ替えられる人間であれば、なにも苦労はしていないし、そもそもこの手の本にお金を掛けることもしていないであろう。

 

いまパラパラと読み返していて思い出したのだが、この本を手に取ったのには理由があった。

それは、仕事で「わからない部分を言語化できない」という壁にぶち当たり、半絶望的な気持ちになっていたからだ。

私の現在の仕事は、Webプログラマー(と名乗ったらプログラマーから罵声を浴びるほど、Web言語の下位も下位のHTML&CSSという言語を扱っている、正しくはWebコーダー)なのだが、仕事が仕事なだけに、「問いを立てる」という技術が否が応でも必要になってくる。

いや、人によるかもしれない。

現に、問いを立てるなどということをこねくり回して考えずとも、普通に質問できているプログラマーは周りにたくさんいる。

そもそもデキるプログラマーはそんなことを考えるともなく考えられるのだろう。

現に、この質問の意味さえ「…何言ってんの?」と、別にデキるわけではないけどソツなく仕事をしている先輩コーダーに言われたこともある。

 

私がおかしいのだろうか…

そう思い悩んだ時期もあった。

がしかし、そうではなかった。

おかしいのは彼らのほうであった。(ちがう)

メタ認知の「メタ」とは「高次の」という意味です。つまり、認知(知覚、記憶、学習、言語、思考など)することを、より高い視点から認知するということです。
メタ認知は、何かを実行している自分に頭の中で働く「もう一人の自分」と言われたり、認知についての認知といわれることがあります。

引用元:メタ認知の概要|奈良教育大学

つまり、今回の私に置き換えると、「わからないことをわからないと認識し、相手に伝える能力」のことである。

メタ認知。心理学用語として、ひとつの学問体系として、あるではないかあったではないか。ほれみろ。首を垂れい。

 

まあ、この言葉を知ったのは『身体知性 医師が見つけた身体と感情の深いつながり』を読んでからのことであり、つい最近の話なのだが、その「メタ認知を鍛える方法」を必死に探していた時期があった。(というか私の二十代前半はこのことに思い悩み、ほとんどの時間を費やしていた)

足掛け六年。私に足りなかったのは「ロジカルシンキング」という「考え方のプロセスを学ぶこと」であった。

しかしまあ、「ロジカルシンキング」については、それを専門とした書籍紹介のときに譲るとして、今回は「会話力」とりわけ、「自分の考えを言語化して、相手に伝える力」を会得することに絞って本書を紹介したいと思う。(本書でもロジカルシンキングという言葉こそ出てこないが、論理的思考についての簡単な記述はなされている)

 

余談だが、コミュニケーションと一口にいっても、相手や場所が変われば当然変化するものだ。

その前提なくして「コミュニケーションの取り方」など語れまい。

だが、意外にもそうした前提で話を進める書籍(人物)は少ないように思う。

「八方美人」などという言葉があるように、人によって態度を変えることを是としない風潮が日本の文化には根強くあることも関係しているかもしれない。

余談終わり。

 

P16、P20、P48、P54、P80、P102、P114

はっきり言おう。出血大サービスのネタバレだ。本書はこのページに重要なエッセンスが詰まっている。(文庫本)

というか、それ以外は「はてな?」と思うところがないでもない。

根本的な「人付き合いに関連した悩み」を持っている場合は、こちらの本を頼るより、大嶋信頼氏の書籍をおすすめする。

現代人は忙しい。私は暇人。

仕事で行き詰っている人、人との会話が上手にできていないと感じる人はこのページをとりあえず繰り返し読んでみるだけでも、なにか変化があるかもしれない。

考えるためには「答え」ではなく、「問い」を探すのです。

思考がすぐゆきづまってしまう人は、問いを立てるエリアが狭いのです。

はじめての人にも信頼される条件

1.過去→現在→未来という、時間の中での、その人の連続性

2.その人と、人や社会とのつながり

これらは本書に書いてある文章の一部である。

なにかしらピンとくるものがあった人は、ぜひ読まれたし。