映画『パレードへようこそ』誇りを掲げよ!性という垣根を超えて LGBTと炭鉱労働者の友情から生まれた感動の実話

この映画を見たのは2015年。

劇場で見たときからずっと忘れられなくて、DVDが発売されるとすぐにamazonで注文した。

それから繰り返し見てはさまざまなシーンで涙ぐんでいる。

 

性的マイノリティを題材にした映画は、世の中にたくさんある。

そしてそれは大抵、奔放さを過剰に描かれてしまっている感が否めない。(彼らにだって色んなタイプの人間がいるはずなのに)

この映画も御多分に漏れず、そういうシーンはいくつか見られた。

 

それでもなお、この映画に惹きつけられてしまうのは、性という垣根を飛び越えて、

本来一人一人の人間が持つべき「pride(誇り)」を掲げよと、見る者に静かに力強く訴えかけてくるからだ。

 

この映画を見終えたあなたは、実話から生まれたからこそのリアリティのある力強いメッセージを、いくつも受け取ることになる。

予告

あらすじ

1984年、イギリス、サッチャー政権下。

財政難に陥っていた英国政府は、多くの炭鉱を閉鎖することで、その財源を確保しようと動いていた。

「警官にいじめられている彼らは、僕たちといっしょだ」

TVで警官と衝突する炭鉱夫の姿を見た、ゲイの活動家・マークは、仲間と一緒に

「炭鉱労働者を支援する」という名目で募金を開始すると、多額の資金が集まった。

 

さっそく、集まった資金を寄付しようと炭鉱労働組合へ電話をかけるが、

LGSM(炭鉱夫支援同性愛者の会)という団体名を名乗るだけで、ことごとく断られてしまう。

そんななか、たったひとつだけ、ウェールズの小さな炭鉱の町が受け入れを表明してくれるのだが…。

この映画の見どころ(若干ネタバレあり)

あまりにも感情移入しすぎてしまっていて、冷静に書ける自信がない。

とりあえず、「自分はこう感じた」という点をいくつか挙げることにしようと思う。

ネタバレっぽいものを見たくない人は、太字だけ流し読みしていただければ。

 

主人公がいない みんなが主役級

あえて主人公を挙げるなら、マークやブロムリーあたりになるのだろうが、

この映画には脇役がいない。みんなが主役級。そう思わされる演出やカメラワークなのだ。

登場人物それぞれが重要な役を担っていて、誰の存在も肯定してくれているように感じられる。

それは現実の世界にも通じることなのかもしれない。

折り合いのつかない人間関係 それもまた人生

みんなが主役、とは言ったが『パレードへようこそ』にも、ちゃんとイヤ~な人間というのが登場する。

でもそんな彼女にさえ、彼女がそうなってしまった理由というのが仄めかされている。

そんなところにも、この映画の温かさを感じられる。

 

結局、彼女は最後まで自分の考えを曲げることはない。

だが、そんな折り合いの付かない人間関係というのがあってもいい

馬が合わない人間がいるなら、離れればいい、と教えてくれているような気がする。

冴えない人間にもスポットライトが当たる

個人的には、ビル・ナイ演じるクリフに、思わず自分の姿を重ねてしまった。

心の内には燃える情熱があるにもかかわらず、空回りしてそれをうまく言葉にすることができない。

そして結果的にいつも大事な場面で黙り込んでしまうのだ。

そんな冴えない人間にさえ、光を当ててくれる映画は、いまのところ僕はこの作品しか知らない。

青年が大人になるまで

当時のイギリスでは、LGBTの集まりに参加していい年齢は21からと法律で決められていたが、

ブロムリーは20歳の誕生日にその法律を破ってしまうことになる。(なお、仲間にいわれるまで知らなかった模様)

学業をサボって法を破るというのは、あまりにも破天荒すぎるし、父親が激昂した理由もわからなくもないが、

そこは「若さゆえ」ということにしておこう。

 

「親がダメだっていうから…」という言い訳をするブロムリーに対してマークが放った言葉が忘れられない。

巣立ちできない青い鳥に喝を入れてくれる。身につまされた。

音楽と映像が素晴らしすぎる

80年代のブリティッシュサウンド、といわれても「?」な世代だが、

それでも音楽がとてもカッコいいということはわかる。

ジョナサンのダンスシーンは本当に必見。

思わず僕も「踊りを教えてくれ!」と、画面に向かって言いそうになった。

 

そして、映像がとにかく

デザインとか細かいことはあんまわからないが、

そんな自分でさえ、目にとまってしまうほど、色使いが秀逸なのだ。

とにかくこの映画への思い入れがすごいことはおわかりいただけただろうか。

おそらく誰が見ても感動できるのではないかと思います。ぜひ。