タイ生まれの漫画家ウィスット・ポンニミットの作品『ロマンス』かわいい絵柄の裏に隠された小さなトゲ

タイの漫画家タムくんこと、ウィスット・ポンニミットをご存知だろうか?

本名ウィスット・ポンニミット(wisut ponnimit)。
タイ・バンコク出身のマンガ家、
アニメーション作家、ミュージシャン。
1976年生まれ。
バンコクで1998年マンガ家デビュー後、2003年神戸に留学。
滞在中、よしもとばななさんの単行本『なんくるない』
表紙イラストなどを通じて、日本でも知られる。
現在日本では小学館「IKKI」、新風舎「少年文芸」、
コロムビアME(毎日更新web1コママンガ)「マムアン」他、
マンガを連載中。

出典元:ほぼ日刊イトイ新聞 - タムくん。

マムアンちゃんという可愛らしい絵は、知ってる人も多いかもしれない。

絵本マムアンちゃんのグッズ、LINEスタンプまであるのね

久々にマムアンちゃんのことを調べてたら、めちゃくちゃ人気が出ていた。以前は絵本を入手するのにも苦労したのに、いまやたくさんのグッズなどが売られている模様。

数年前、ツイッターで偶然流れてきた、可愛らしい絵に添えられた、哲学的な鋭い一言が目に留まり、調べていくうちに本を買おうと思った。

最近の芸術関連の市場を見てて思うのは、2タイプの人間に対応したものが売れていくなあ、という印象を抱いてる。

それはどういうことかというと、「パリピ」にも「こじらせ」にも受け入れられる要素がある、ということだ。絵は可愛いし、万人受けしそうなことも言うけど、鋭い部分も持ってる。音楽はキャッチーでアップテンポなのに歌詞が暗い。エンターテイナーな感じを演出するけど、中身は辛辣。みたいな、系。

ようするに、作り手が洗練されていってるのかもしれない。言い換えるとこれは、「競争の激化」で、求められるものがよりソリッドになっていくため、人間性、風格、というものが備わっていないと生き残れない。良し悪し。

この流れは芸術に限らないけども。

脱線した。

絵本もいいけど漫画作品もおすすめ

マムアンちゃんの絵本も好きなのだが、今回はマムアンちゃんの登場しない、タムくんのラブストーリー短編集『ロマンス』について紹介したい。

この作品には、全部で8編の物語が収録されており、表題作のロマンスは、近未来の都市を舞台にした恋物語だ。

王子様を待ち続ける女の子。ここじゃないどこか、を待ち続ける女の子。

いつの時代も、ないものねだりは変わらないようだ。

キュートでピュアなラブロマンスの中にある小さなトゲ

どのエピソードもすごく身近で、ピュアなんだけども、そこに込められたメッセージにはハッとさせられる。

とくに僕のお気に入りは、「女子学校」と「ラブ・エレベーター」。

「女子学校」には台詞の吹き出しがいっさい登場しない。絵だけでストーリーがわかってしまう。それも「わかる」だけじゃなく、女学生の心の機微が、繊細に描かれていて、小さな感動をおぼえる。いや、本当は小さくない。いたく感動した。だけども、この女学生の気持ちは真にはわからない。わからないから感動するのもおこがましいと思って小さくした。自意識さんこんにちは。

ラブ・エレベーターは、昔好きだった人に、気持ちを伝えられなかった経験ある人には刺さると思う。風の噂で「もう結婚して、子供もいる」って聞かされたときの、あの一瞬の放心。。

言語化しにくい愛が漫画で表現されてて、僕は好きです。