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夏石鈴子『バイブを買いに』女性向けセックス観あるある小説 裸で体当たりする女性たちの生き様を描いた渾身の傑作短編集

この本は8つの物語からなる短編集だ。 表紙には、裸の女性のイラストと真っ黄色の背景、そして赤い文字で書かれた表題作のタイトル『バイブを買いに』。 5年以上前に読んで、あのときとても等身大のストーリー群に感動したのだが、内 …

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吉村萬壱『出来事』このニセモノ世界に絶望を感じている人へ それは希望と紙一重 「確認」と「覚悟」をくれた連作長編小説

絶望を見せられて希望を感じる人間というのは少なからずいる。 私も間違いなくその一人だ。 とは言ってみたものの、それは自分が当事者でない場合の話なのかもしれない。 なにせ絶望を経験したことがないのでわからない。 しかしこの …

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【311の美談の裏に隠された真実】東日本大震災が浮き彫りにした男尊女卑社会を描くノンフィクション小説

垣谷美雨の作風 今回紹介する本は垣谷美雨さんの『女たちの避難所』だ。 垣谷美雨さんといえば、その作風は女性向けに書かれた時事ネタが多く、『結婚相手は抽選で』『嫁をやめる日』『夫の墓には入りません』などなど。 どこかキャッ …

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【日本のディストピア小説】吉村萬壱『ボラード病』多数派同調バイアスの末路を描いた純文学 抽象的ネタバレ感想

「明日がある」という言葉を聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべるだろうか。 通俗的には「明日があるさ」などという曲に代表されるように、その言葉は「希望」という意味を伴って語られることが多いように思う。 それはちょう …

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大嶋信頼『催眠ガール』大嶋先生ついに小説家デビュー。催眠スクリプトの宝庫、効果のほどは如何に…?

大嶋先生の昔から夢であったという小説の執筆。 処女作はその名も『催眠ガール』。 この言葉の響きだけでなにやら夜九時にやってるドラマのタイトルみたい! なにやら効き目がありそうだ。(べつに夜九時のドラマが面白いのかどうかは …

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映画『愛がなんだ』二十代~三十代の恋愛模様 好きってなんだ?自尊心低い系女子テルコの突き抜けた意志は、憎めないばかもののそれだった

予告動画 あらすじ 猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっ …

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【大人にこそ読み聞かせたい!?】時間泥棒に搾取されている思ったら…ミヒャエル・エンデ『モモ』を読んで我に返れ!児童文学を代表する古典的ファンタジーの名作

積読していた本のひとつ。 そのわけは。 ひとつ、児童文学を読むことへの抵抗があったから。 ひとつ、言葉から情景を描写する小説は昔からイメージできなくて本そのものの世界に入り込めなかったから。 ひとつ、あまりにも名作名作と …

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景山民夫『クジラの来る海』放送作家ならではの経験値と視点、加えて宗教にハマったからこそ描けた哲学的ユーモア小説

景山民夫をご存知だろうか。 平成生まれには知らない人も多いだろう。 1947年東京生まれのわりと有名な放送作家だ。 みなさんが一度は聞いたことのある番組『タモリ倶楽部』を、一番初めに手掛けたのもこの景山民夫である。 彼は …

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竹宮ゆゆこ『応えろ生きてる星』渡會将士氏推薦小説 「とらドラ!」の作者と知らずに読んだ私が率直に感じた正直な感想

ひっさびさに、エンタメ小説とは、これか。という本を読んだ。 私は中学生くらいのときからずっと、「流行りもの」というのが大嫌いな性質の人間であった。 それは今も変わらないのだが、現在のように、なにか明確な理由・理屈があって …

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今村夏子『こちらあみ子』あみ子は悪い子?見て見ぬふりをしてきた私たちの「やるせなさ」を浮かび上がらせる太宰治賞受賞作品

世の中には、わかっていてもどうしようもない問題、やるせない問題というのがある。 それは誰が悪いとかではなく、いやむしろ、特定の誰かを悪者にできないからこそ、多くの人がその問題と向き合うことなく、大人になってもなお、おざな …

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中島らも『今夜、すべてのバーで』憎めないアル中作家、らもさんの心温まる自伝的ノンフィクション小説

「中島らも」をご存知だろうか。彼は、アルコール中毒者として有名な演出家であり小説家でありミュージシャンでもあった故人だ。(シャブで捕まったこともある) その生涯の大方は、シラフではなかった。劇団の舞台に出演するときも、小 …