葉真中顕(はまなかあき) 『絶叫』 現代を生きる女性の叫び 繰る手が止まらぬ怒涛の展開 一気に読めるミステリー小説

棄てられたー、神代に言葉を与えられ、あなたは自分の身体の中心にある感覚に気づいた。

確かに、そうだ。

それが神代の言うように「社会」なのかどうかは分からない。

けれど、何か大きなものに棄てられた、という感覚が確かにある。

ミステリー小説って、こんなに面白いんか。

普段あまりミステリー小説を読まないので、いまさらミステリー小説の面白さに気付いた。

いや、もちろん何度か挑戦はした。だけどいつも集中力が続かなかったり、些細な点が気になったりして、結局最後まで読み通すことができなかった。

この本は、600ページ近くある。

だが、僅か4日間で読み終えてしまった。

 

ミステリー小説ツウからしたら、「こんなのゴマンとあるよ」と嗤われるのかもしれない。

しかしあえて言おう、確実にそのゴマンのうちのひとつだと。

ハズさない面白さがそこにあると。

女性に読んでほしい

社会に不満を持っている女性というのは、あまり聞かれない気がする。

もちろん環境がそうさせないというのもあるだろう。

そんな女性にこそ読んでもらいたいと思った。

ある意味これは、復讐のかたちなのかもしれない。

ファッキン、世の中。

と、声を大にして言えない女性。

『絶叫』には、それを代弁してくれている言葉や感情が、きっとひとつは見つかるはず。

読み進めるのはつらいとは思うが、それでもおすすめしたい。

数年前まで、「おひとりさま」なんて言って、女性が独りでも自立して生きてゆくライフスタイルがずいぶんもてはやされていたが、最近はやっぱり結婚ということなのか、この「婚活」という二文字をやたらと目にする。

この本との出会い

きっかけは、アマゾンレビュワーだった。

僕は最近、暇なときに、アマゾンレビュワーを漁っている。

そう、レビュワーだ。

 

映画に寄せてあるレビューを読み漁り、そこで見つけた面白い考え方を披露する人や、その作品に対して自分と近しい価値観を持っている人を見つけ、そのレビュワーを追跡する。

すると、その人のレビュー一覧が表示され、そのなかには、本の感想を述べたものもあったりする。

 

とはいえ、人の趣味嗜好というのは千差万別であり、

「自分と考え方が似てるなあ」とは思えど、その人が絶賛するものが必ずしも自分の好みにあうかというと、そんなことはない。

しかし、確率を上げることはできる。

とくに、メジャーに当たりが少ない。と感じている人にとっては。

そんななか見つけたのが、この本だった。

内容

僕が受け取った内容を、ざっくりと説明するなら、

『絶叫』は一人のある女性の半生を通して、現代社会の闇をあらゆる角度から浮き彫りにした小説だ。

雇用問題、DV、貧困ビジネス、孤独死…

これらにとどまらず、数多の現在進行形である社会問題が、1人の女性という具体を伴って、描かれている。

 

また、作中では、東日本大震災をはじめとした、実際にあった災害、事件・事故も描写される。

「この物語は、単なるフィクションなどではなく、現実の問題なんだ」と

読者に呼びかけるかのように。

街には轟音と悲鳴が谺(こだま)していたに違いない。

けれどその様子は、四角い画角に切り取られ、電波に乗せて遠く離れた土地に運ばれる過程で、リアリティをそぎ落されて、ただ事実を伝えるだけの静かな映像になっていた。

読後感想

あっという間に読み終えてしまった『絶叫』。

同情するのも違うんだろうけど、結局同情してしまう。でもそれは高いところから、というより、近しい目線で、だと僕は勝手に思いたい。

社会問題をこれだけ扱うと、読後感が悪くなりそうだが、してやったりのラストは個人的にはハッピーエンドだと思っている。

 

健常と異常は、紙一重だなとつくづく思う。